乳がんについて知っておきたい基本
乳房のしくみ
乳房は主に以下でできています。
- 乳腺:母乳を作る組織
- 乳管:母乳を運ぶ管
- 脂肪組織
- リンパ管・血管

乳がんの多くは「乳管」から発生し、次に「小葉(母乳を作る場所)」から発生します。
乳がんの主な症状
初期は無症状のことも多いですが、次の変化は重要です。
よくある症状
- 乳房のしこり
- 乳房の形の変化
- 皮膚のへこみ・ひきつれ
- 乳首からの分泌物(血が混じることも)
- 乳首の陥没
- 脇のしこり(リンパ節)
- 赤み・熱感
- 痛み(痛みがない場合も多い)
注意したいポイント
「痛くない=大丈夫」ではありません。
乳がんのしこりは痛みがないケースも多いです。
乳がんの原因
乳がんは「1つの原因」で起こるわけではなく、複数の要因が関係します。
関係すると考えられているもの
- 女性ホルモン(エストロゲン)の影響
- 遺伝子変異
- 加齢
- 生活習慣
リスク要因
なりやすいと言われる要因
- 年齢が上がる
- 家族に乳がんの人がいる
- 初潮が早い
- 閉経が遅い
- 出産経験が少ない
- 肥満
- 飲酒
- 運動不足
- 喫煙
- 長期間のホルモン補充療法
遺伝性乳がん
一部は遺伝が関係します。
代表的なのは BRCA1 / BRCA2 遺伝子変異です。
病院で行う主な検査
1. 視診・触診
視診では乳房のくぼみやただれの有無、乳房の形の左右差の差、乳頭からの分泌物の有無を目で見て観察します。触診では指で乳房から脇の下を触ってしこりの有無を確認します。しこりがある場合は大きさ 硬さ 動き方などを確認します。
2. マンモグラフィ
病変の位置や広がりを調べるために行う乳房専用のX線検査です。
視診・触診で発見しにくい小さな病変や超音波検査では発見しにくい微細な石灰化(乳腺の組織内に微細なカルシウムが沈着したもので乳がんでみられるものがあるもの)を見つけることができる。
3. 超音波検査 (エコー)
超音波検査は乳房内の病変の有無、しこりの形状や大きさ、脇の下など周囲のリンパ節への転移の有無を調べるために行われる検査です。超音波検査では乳腺は白く 乳がんの多くは黒くうつるためマンモグラフィで高濃度乳房とされる場合では超音波検査のほうが乳がんの発見に役立つことがあります。
また、放射線による被ばくがないため妊娠中でも検査が可能です。
4. 病理検査 (細胞診・組織診)
病理検査は病変の一部を採取して顕微鏡で調べ、がんの有無などを診断する検査です。
Ⅰ)細胞診
超音波などの画像を見ながら、病変に細い針を刺し注射器で吸い取った細胞を顕微鏡で調べる検査です。
Ⅱ)組織診
マンモグラフィや超音波検査で確認しながら病変の一部を採取し顕微鏡で調べ確定診断を行う検査です。組織診では通常、局所麻酔をして注射針より少し太い針を使って組織をとる「針生検」が行われます。手術で組織をとる「外科的生検」が行われる場合もあります。
5. 腫瘍マーカー検査
採血を行い、がんの診断の補助や診断後の経過や治療の効果を見ることを目的に行います。
腫瘍マーカーとは、がんの種類によって特徴的に作られるタンパク質などの物質です。がん細胞やがん細胞に反応した細胞によって作られますが腫瘍マーカーの値の変化だけでは、がんの有無やがんが進行しているかはどうかは確定できません。
また、がんがあっても腫瘍マーカーの値が高くならないこともあります。乳がんでは現在のところ診断に使用できるような特定の腫瘍マーカーはありません。一方で再発や転移した場合には治療の効果を見る参考情報としてCEAやCA15-3などの腫瘍マーカーを調べることがあります。
6. 画像検査 (MRI・CT・骨シンチグラフィ・PET)
Ⅰ)MRI検査
強い磁石と電磁波を使って、乳房内部を詳しく映す検査です。放射線(被ばく)はありません。
主な目的
・がんの広がり確認
・多発病変の確認
・反対側乳房の確認
・手術範囲の判断
・再発評価
MRIの特徴
【得意なこと】
・小さい病変を見つけやすい
・乳腺が密な人でも見やすい
・造影剤で血流変化を確認
【苦手なこと】
・良性でも光ることがある
・閉所が苦手な人はつらい
・検査時間が長め(20〜40分程度)
【注意点】
以下の人は事前申告が必要です。
・ペースメーカー
・体内金属
・閉所恐怖症
・腎機能低下
・妊娠中
Ⅱ)CT(CT検査)
X線を使って体の断面を撮影します。
主な目的
乳房そのものより、転移確認 に使われることが多いです。
主に見る場所
・肺
・肝臓
・リンパ節
・骨の一部
CTの特徴
【得意なこと】
・全身を短時間で確認
・肺転移に強い
【苦手なこと】
・小さい乳房病変はMRIほど得意ではない
・被ばくがある
※造影CT
造影剤を使うと病変が見やすくなります。
【注意点】
・造影剤アレルギー
・腎機能障害
・喘息歴
は必ず伝えましょう。
Ⅲ)骨シンチ(骨シンチグラフィ)
骨転移を調べる検査です。放射性医薬品を注射し、骨の代謝が活発な部分を画像化します。
主な目的
・骨転移確認
・骨病変の広がり確認
・乳がんは骨転移しやすいため重要な検査です。
骨シンチの特徴
【得意なこと】
・全身骨を一度に確認
・広範囲の骨転移確認
【注意点】
「骨が修復しようとしている場所」も光るため、
・骨折
・関節炎
・加齢変化
でも反応することがあります。
Ⅳ)PET-CT
がん細胞の「糖を多く使う性質」を利用した検査です。FDGというブドウ糖に似た薬剤を使います。
主な目的
・全身転移検索
・再発確認
・治療効果判定
PETの特徴
【得意なこと】
・全身を一度に確認
・活動性の高い病変を見つけやすい
【苦手なこと】
小さい病変
・一部タイプの乳がん
・炎症でも光ることがある
※よくある誤解
「PETで全部わかる」は違う
PETでも見つからない病変があります。
検査は組み合わせる
乳がんでは複数検査を組み合わせて判断します。
※重要なポイント
検査ごとに得意分野が違う
「転移がある=すぐ終わり」ではない
治療進歩で長期治療できるケースも増加
画像だけでなく症状や血液検査も重要です。

